ニッポンの著作権法改正(おそっ)とアメリカ,オーストラリアの大学図書館の今

 とうとう,著作権法改正(案)のニュースが入ってきました(毎日新聞の記事文科省の発表ページ)。これで,これで,日本の教育も本当に変わっていく(かも)...涙涙。
 過去2年かな,図書館情報学教育のe-learningを介した国際連携プログラムを模索するべく,国内外で調査を続けてきていましたが(本学司書課程紀要SPLでも報告;こちら),問題はこの著作権法でした。アメリカの図書館にレファレンスサービスを頼みに連絡すると,見つかった資料(本の1章とか)は,PDFファイルで添付で送られてくる。でも,日本はいまだに紙でノロノロと。日本の大学でe-learning,まずは例えばオンキャンパスの授業でペーパーレス(紙の配布資料無し)をやろうとしても,この著作権法に阻まれる。それが,来年の1月1日から,変わりそうです!!
 実は,来年度から,司書課程で,iPadを学生分,リースすることが実現する見込みです。司書課程の授業は,ペーパーレスに向けて,本格的に動き出そうと思っていましたが,この著作権法改正が実現すれば,ほんとにほんとにペーパーレスに向かえそう!!楽しみです。(楽観視しすぎかな,まだ案だしな...)
(2018.3.8追記:来年の1月1日からではない模様,誤情報を流し申しわけありません。コメント欄のやりとりをご覧ください。ご指摘いただき,ありがとうございます。)

 今年はさっそく,2月で2度の海外出張をしました。アメリカのコロラド州デンバーと,オーストラリアのクイーンズランド州ブリスベンです。デンバーでは,デンバー大学の図書館メインの図書館法学図書館と)デンバー公共図書館の中央館を見てきました。ブリスベンでは,クイーンズランド工科大学の図書館と,クイーンズランド大学の社会科学・人文科学図書館,そして,ブリスベン公共図書館の街のど真ん中にあるブリスベン・スクエア図書館,そしてクイーンズランド州立図書館に行ってきました。
 大学図書館について言えば,はっきり申しまして,もうどの大学の図書館も,図書館は人びとが出会う場,学びあいの場として再定義され,フロアの半分(低層階)では,本や書架は少しはあっても,もはやまったく中心的な存在ではないですわ。で,何をしているかというと,学習支援ですよ。一番徹底していたのが,デンバー大学図書館のメインの図書館(本館)ですね。いやあ,シビレました。これだな,これからの大学図書館は,と確信しました。なんて興奮してたら,これ,5年前に開館してるのですね...こちらの開館時のYouTubeの映像をご覧いただければ,まるで実際に行ったかのように感じられるのでは。本や書架の撤去という意味では,ブリスベンで見た2大学の方が徹底していたと思います。クイーンズランド大学じゃ,電子レンジが図書館の中に置かれてて,学生にどんどん来てもらおうっていう意志を感じましたね(笑)。クイーンズランド大学って古くからある名門だと思いますが,そういう大学の人文系の図書館でここまで書架が無くなっているのかと驚愕しました。また,ライブラリアンの存在は,ほんとうにほんとうに高度なレファレンスや学習支援ができ,かつ企画力のある人以外はいらないっていうことになって,あとは学生・院生のアルバイト雇用(学生同士が支援する方がよいという考え方)が広まっているようですね。オーストラリア社会の機械化って徹底していて,もしかしたらアメリカより進んでいますね。入国審査ももう完全に電子化されてましたよ(笑)!修士課程に在学していたころ(20年前か),combined libraryつまり,公共図書館学校図書館がいっしょになった図書館に関心をもって英語の文献を読んでいましたが,オーストラリアで広まっている実践のようだったのですが,実際に行ってみると(僻地には行けていませんが),さもあらん。私が卒業したハワイ大学の巨大版みたいな雰囲気のクイーンズランド大学を歩きながら,この人口密度じゃ,combined libraryも当然だし,なんでも機械化しちゃおうってなるわね,と思いました。
 公共図書館もまた,人が出会う"場所"として,再定義されていますね。しかも,コミュニティの多様性に出会う場所なのですね。コロラド公共図書館は,雪のちらつく寒い日に行ったこともあるでしょうが,ホームレスの方たちもたくさん来ていて,寝てたりご飯食べてたり,もうやりたい放題(笑)。若干臭うのですが,まあ広いから,そんなに気にならないかな。攻撃してくるわけでもないし。でもその一方で,地元の歴史を知る自主的なサークルらしきグループが集まっていたり,いろんな形で使われているのですよね。ブリスベンの場合も,館内はいろんな形状(家具)のmeeting roomだらけで,人と集まる場所を提供するっていうことを,図書館の中心的な使命としていることがわかる。でも,公共図書館の方が,本の位置づけはまだ,けっこうしっかりありますね。でもでも,日本といっしょということではまったくないです。だって,コンピュータの台数やミーティングルームの数がまったく日本の公共図書館と違いますもの。以下の写真のような感じですわ。コーディングを学ぶ道場っていうのも面白いなあ!!!(スマホが劣化してるわ,私の撮り方も悪いわで,写真がクリアじゃなくてすみませぬ。)

(2018.3.2追記)写真の位置と大きさを変更しました。

ALA冬季大会@デンバー

 ALA Midwinter Meeting 2018に行ってきました。冬季大会ははじめての参加です。2月9日から13日といつもの年より時期が遅かったこと,また,昨年11月に発表されたAASLの新しい学校図書館基準について学びたかったことから,入試業務を調整してもらい,少し免除もしてもらって,行ってきました。ありがたい機会でした。
 新学校図書館基準『学習者,学校図書館員,学校図書館のための全国学校図書館基準』(National School Library Standards for Learners, School Librarians and School Libraries)は,314ページと大部であり,会員外への定価は199.00 USDと高価でもあって,過去の基準とはちょっと違うものであろうとすぐに推測はされたのですが,入手してみて,グラフィックが多用されているものの,文化的背景を共有しない私たちには特に,理解にだいぶ時間がかかりそうだという印象を私はもちました。インターネット上にもさまざまな情報は出ているのだが,それらを入手しても,どうも腑に落ちない。しかし,今回,ALAの大会に行ってみても,学校図書館関係の集りはどれも小さく,それほど基準のことで盛りあがっている感じもない。はてさて,と思っていたら,AASL Standards and Guidelines Implementation Task Force,つまり,新基準の実現に向けての特別委員会の代替わりの引継ぎミーティングに,オブザーバーとして参加を許可してもらうことができました。これが,基準策定のプロセスを(部分的にではあるが)リアルに知ることのできる,大変貴重な機会となった。デンバーまで出かけて行ってよかったと思えました。
 端的に申しまして,やっぱり,アメリカ人というのは,自治の強い意志をもつ人たちなのだなあということがよくわかりました。日本でこれができるかと言ったら,私は少なくとも今の日本では大変難しいと思います。基準を作る委員会も,その実現(現場での導入を意味する)に向けての具体的な方策を提案する委員会も,別に,図書館情報学の大学教員なり,現場の学校図書館員なりをしている人たちが中心で,そこにALAの本部から担当者が貼り付けられてサポートするという進め方。文科省による指針,指導のようなものも無く,すべてを自分達で作りあげている。また,参加している人たちは,少なくとも実現に向けての特別委員会のメンバーについて言えば,自ら手をあげて参加に至っており,その献身は,life-changing event(人生が変わるようなできごと)だったと言っていた。そしてできあがっている基準は,前述のように大部で,複雑で,一朝一夕に理解できるようなものじゃない。もう少しシンプルでもいいのじゃないのと私個人は思わなくも無いが,前回の基準くらいからか,なんだか複雑化しているよね。評価・評定の視点っていうことを考えると,細かく,具体的な記述も必要になってきて,そうなっちゃうのかなあ。この新基準については,今朝,カレントアウェアネス-Eの編集部に原稿を送りました。簡単な概要説明をさせていただきました。そのうちアップされるかと思います。
 その他,おもしろかったのは,オクラホマ大学の若いライブラリアン2人の発表で,図書館のもっている情報資源を使ったボット(bot)による自動応答システム開発の報告。こちらは,日本でも,私もやってみたいと思うようなものでした。自動レファレンスサービスに展開して行くような流れかもしれないですね。あとは,ALA会長企画の「図書館は中立か(Are Libraries Neutral?: Have they ever been? Should they be?)」というパネルディスカッションや,大会閉会式を兼ねた,二人のサイエンス・ライターの対談(Bill Nye and Gregory Mone)が印象的でした。院生たちと一緒に翻訳してもいいなあと思った。申しわけないのだけど,昨年のJLAの企画と比較してみると…いやもう,昨年,記念講演のスピーカーの名前を見た瞬間に,私は行かないと思いましたもん。呼ぶ人,間違えてるよ,ほんとに。彼じゃあ,図書館の"未来"が見えない。ま,若い人が聞きたいと思う人を呼ばない時点で,きっと未来なんか考えてないんだよね。あ,すみません,また筆が滑りました,ハハハ。

2017年度総括

 2017-2018の年末年始がfamily mattersで終わり,2017年を振り返る時間も精神的な余裕も何も無かった。そのうえ,2018年,年始早々に陸前高田に出張したら,帰宅の夜にノロを発症し,予定どおり仕事をはじめられず。その後も今月は,先週までは職場も家もバタバタしていた。まあ,まだ,年度末までにしなければいけない紀要の原稿の執筆・編集作業があり,また書かなければいけない原稿が3本あって,どっから片付けるかなあという感じなのだが,でもなんとなく,精神的には一区切りついたような感じが1日,2日前からしている。ので,これを書いています。

 2017年度は,私にとっては,三つの大きなできごとを通して,図書館とITの関係が次の段階に入っていることを実感し,また,来るべき本当のIoT社会もしくはAI社会をリアルに見通せることとなった,印象的な一年でした。その三つのできごとというのは,ひとつは,みなさんもご存知のとおり,2017年10月にサンドラ・ハーッシュ教授を本学の招聘研究員としてお迎えしたことですよね。シリコンバレー周辺に暮らす彼女(と彼女のパートナー)と,ライフスタイルから何からいろいろ話して,ほんとうにexcitingだった。一番,考えさせられたのが,サンドラたちが家のリノベをしているという話で,今度は400アンペアだぜ,とパートナー氏。え!ちょっと待って,我が家は何アンペアだっけ?...30アンペアじゃん。。って,10倍以上かよ,と。ミーハーと言われましょうが,わたくし,2年くらい前かに,町でBMWの電気自動車(i3)を見て,私が欲しかった車はこれだ!と思いまして。デザインといかにも運転しやすそうなあの感じに一目ぼれ。それになんていうか,思想がある感じがするんだよね。これからBMWが作っていく車はこういう方向性ですよ,っていうメッセージが,i3からはビシビシ出ていると思ったのです。でも,マンション暮らしの私は,家に充電するところがないわけですよね〜で,持てない。そんな話をしていましたら,過去に電気自動車を2台かな(3台って言ってたかな),試しているというパートナー氏が,今後,サンドラの分も電気自動車にするとしたら,400アンペアはいるんだよ,と。電気をそうやって大量消費するアメリカ社会への批判はいくらでもできるが,なんというか,その,もう潔さに感動もしてしまって。ちなみに,ニッサンの電気自動車LEAFの話にもなり,カリフォルニアじゃみんな乗ってたよ,よかったよ,って二人が言うので,ニッサンは社長が日本人じゃないからなあ,という日本ディスリをするわたくし(笑)。
 二つめのきっかけは,Google HomeAmazon Alexaという,いわゆるAIアシスタントの購入ですね。この1ヶ月,試行錯誤をして,今,我が家はGoogle HomeLDKのエアコン,電気,テレビ等が音声で操作可能になりました(過去はリモコンでしていたこと)。外出先からも,スマホから操作ができる。つまり,IoTなわけですよね。Google HomeやAlexaにいろいろ質問してみて,どういう検索をしてどういう情報を提供してくれるのかを試したが,特にAlexaは日本語への対応はまだまだという印象だけれど,でも,アメリカではAlexaの方がシェアが圧倒的に高いそうで。この先の両者の勝負はわかりませんよね。この2台を使ってみて思ったのは,100年前にアメリカで図書館で働こうと考えたようなタイプの人は,今の時代ならGoogleで働いているのかもね,と学生たちによく冗談めかして話していたが,ほんとうにそうなのかもなあと。ちなみにご存知?Googleのmission statementみたいなのは,以下ですよ(ここから引用)。

“Organize the world’s information and make it universally accessible and useful.”
Since the beginning, our goal has been to develop services that significantly improve the lives of as many people as possible.

Not just for some. For everyone.

訳してみれば,図書館の使命と,広く言われているのと同じことなんだよ。 

「世界の情報を整理し,それを普遍的にアクセス可能にし,利用可能にする。」
はじめから,私たちの目標とは,可能な限り多くの人々の生活を大きく向上させるサービスを開発することです。

一部の人たちではなく。すべての人のために。

図書館を愛する私は,なんか切なくなるわあ。まったく同じことを言われてしまい,しかも図書館以上の速度と規模で,それを実現しつつあるGoogle...
 で,三つ目は,自分のオフィスワーク関連のできごとなのですよね。7年前に立教に来てからずっと,「図書館実習」の改革をしてきたのですね。国外への図書館実習の制度を作ったりなんだりと。でも,事務的な部分はもうお任せで,触ってこなかったのです。でも,ちょっとしたきっかけがあって,じゃ,やるか,と少しそちらに目を向けてみたら,なんていうか,仕事の大半が,マクロを書くようなことなどをすれば,オートメーション化できちゃうってことに気づいたのですね。そうなってくると,人間って何をするのかな,って。それこそ,マクロを書く能力とか,判断する能力とか,専門知に基づいた総合的判断とか,学生相手の魂の指導とか(笑)?学生たちに,ライブラリアンは消滅する職業リストに入っているなんて話していましたけど,ほんと,ライブラリアンもですけれど,人間は何をする者ぞ,と考えさせられましたよ。
 もういてもたってもいられず,上記のような経験を,来たる2018年度からの立教大学司書課程のカリキュラムや講師陣には時間の限りの努力で反映したつもりです。私の授業も変わっていかねば。
 
 来月は,ALA Midwinterに行きます。このブログは本来,出張ブログなので,この時こそ書かねばなのだが,どうかなあ。体力あれば。

立教大学司書課程HP公開!

 私としては,けっこうがんばりました。こちらです。と言いながら,実は新入生・在学生たちに配ってた文書をベースにしているのですが(笑)。でもでも,講師紹介や修了生・在学生メッセージはイチから作りましたぞ。みなさま,ご協力,ほんとうにありがとうございました。
 これまでの本学の司書課程はけっこうコンサバな授業内容でした。それが主として文学部の一部の学生たちにすごくウケていた一面もあったような気がします。でも,来年度から,ちょっと司書課程としてはめずらしいというか,おもしろい?,講師陣や授業内容に再編される感じかなって思ってます。ITと国際化を前面に出していく感じになります。4月に,思いっきり,公表できるときを楽しみにしています。
 今,科目等履修生の募集もしています。

何を読んだらいいのか,何を薦めるか

 いやあ,今朝,ビル・ゲイツのブログのエントリの多くが,彼が読んだ本の紹介だっていうことにやっと気づきましたよ。今日のエントリは,これなのだけれど,同じ内容を肉声で話して素敵なムービーにしてyoutubeにもあげてるのね〜。いいわ〜いいわ〜。こういうメディアを自由に飛びまわるかんじ,いいです。しかし,彼もいかにもシニアって感じになってきちゃってますねえ,昔からこの人そうなのかな,この現実と過去をしっかり見つめている感じ。もちろん,アメリカ人らしい,ビジョンのもち方もしているけど。イーロン・マスクが毎日,自身が想像する未来について語っているのと比較すると,かなり姿勢が違う(いちおう,イーロン・マスクに影響を与えた本を整理したウェブページも示しておきますわ)。本を紹介するという行為も,現代の若者からしたら,シニアの行為って感じじゃなのかなあ。紹介している本も,ベトナム(戦争)関連が複数含まれていたりして,世代が透けて見えるしなあ。日本のシニアが今,学生運動のころについての本を書いたり読んだりしてるのと同じ感じですかね。
 だけど,ビルゲイツがこうやって,じょうずに本を紹介しているのを見て,何冊か読もうかなと私は思ったから,やっぱりこういうのってじょうずな人がやると意味がありますね。何を読んだらいいのかわからない人って,自分はなったことがなかったけど(読みたい本が多すぎる),英語の本の世界となると,アメリカの本屋さんや図書館に日常的に出入りできるわけでもないし,どこに手をつけていいやらという感じがするから。(でも,これって,ライブラリアンのプロフェッションとしてのバランス感覚ある本の推薦,とは違うよね。)

 実は,今年度いっぱいで特任教授の上田修一先生がご退職で,来年度春,司書課程は新しい先生をお迎えして,またもや変化の一年になりますのです。それに関連して現時点で私にとって重大なのが,来年度の担当授業のシラバス書きなのですね。2014年に上田先生がいらっしゃったときに担当を離れた「図書館情報資源概論」を改めてもつことになり,最近ずっと,常になんとなく,そのことを考えています。あと,新規に担当することになる「図書館サービス概論」。新規であるこっちの方がほんとうは問題なのかもしれないが,なぜか「図書館情報資源概論」の方が大きく気になるんだよなあ...
 というのは,2013年ころの情報メディア,コミュニケーションの状況と来年,2018年の情報メディア,コミュニケーションの状況とが違いすぎる。そんなの知らないだろう若者には声を大にして改めて言うが,ほんとうに違う!何を薦めたらいいのか,そもそもこれからの図書館・ライブラリアンは本を選び,集め,評価し,薦めるべきなのか?

 話は変わるが,先日やっと,Hidden Figures(英語のHP)を観たのですね。ちなみにこの映画,ドリーム(日本語のHP)という邦題ですけど,それ,非常にmisleadingですからヤメテイタダキタイ。Hidden Figuresというのは,二重の意味があって,というか,アメリカの映画のタイトルはほぼすべて,二つの意味をもたせてあると思います。と,ここまで偉そうに書いたが,わたくし,Hidden Figuresについて言えば,その二つの意味のひとつ(obviousな方)しかさいしょわからなかった。人に教えてもらったのです,ハハハ(笑)。私が最初に理解したのは,隠れていた人たち,ってことですよね。figuresは人物って意味。もうひとつは,figuresには「数字」って意味があったのだねえ!そうでしたそうでした。数字がこの映画でどういう意味かを知りたい方は,ぜひとも映画を観てくだされ。
 いやあ,もしかしたら私にとって人生の一作かもしれん,というくらいの映画でした。フォレストガンプもめちゃくちゃ好きですので,やっぱりこの時代のアメリカを描いた映画が私は好きなんだなあ。Hidden Figuresもはじまって数分から,映画の最中ずっとグスグスと。最初は,主人公のアフロアメリカンの女性たちが1960年代の南部アメリカで経験している境遇のきびしさに泣いて,後半に向かうにつれ,主人公たちの強さと白人たちに少しずつわかってもらえていくプロセスが続いて泣ける。ううう...今もまた泣けそう(笑)。今年,Academy Awardsの作品賞受賞作で見たのは,今のとこLa La LandとMoonlightとHidden Figuresだけなのだが,三作かなり色合いが違って,ハリウッドの力がしみじみわかるような。La La Landは,やっぱりミュージカルの映画っていうのがすごいし,ライアン・ゴズリングの力を思い知らされる。Moonlightは,自分の偏見に気づかされた。マイノリティのマイノリティという存在がそれこそ,hidden figuresだった,私にとっては。で,長くなったのだけれど,とにかくHidden Figuresが感動だったので,もう原作を読むしかないと思って,久しぶりに英語の一般書を買ったわけですね。
 いやあ,もう,ほんと,やっぱり英語で一般書も読まないとだめだね,って改めて。英語はやっぱり時間かかるし,専門書だって読むべきものが読みきれていない状況だから,一般書,特に小説はまったく読んでいなかった。でも,英語の会話力って,一般書,小説を読まないと伸びないですね,ゼッタイ。
 ちなみに,英語の原作を読もうと思ったのは,これの前は,The Big Short(英語の予告編)(邦題「マネー・ショート 華麗なる大逆転(日本語HP)だったのだが,こりゃもう金融の専門用語がわからなすぎてどうにもならなかった。英語の一般書について言えば,私の生涯で,数千冊読むということはないだろうなあ。やっぱり読むものを選ばないといけない。ムズカシイ

連続公開シンポジウム「司書教諭資格付与科目の教育実践を検討する」全5回記録公開

 みなさま、とうとう、記録集にまとめることができました!立教大学学術リポジトリRootsからも見ていただくことができます(こちら)。豪華執筆陣ですぞ!!
 巻頭言に書いた以下が、私の今の思いです。

 周知のとおり、司書教諭資格付与については、学校図書館法および学校図書館司書教諭講習規程に定められておりますが、これらは日本が独立を回復した直後、1953 年と1954年に制定されたものです。それぞれ 1997 年および 1998 年に改正されたものが、現在の司書教諭資格付与課程について定めています。学校図書館法はその後、2014 年に再び改正され、「学校図書館の専門的職務を掌らせるため」の司書教諭の他に、「学校図書館の運営の改善及び向上を図り、児童又は生徒及び教員による学校図書館の利用の一層の促進に資するため、専ら学校図書館の職務に従事する職員」であるところの学校司書が定められることとなりました。その後、調査研究協力者会議の検討を経て、2016 年 11 月に文部科学省は「学校司書のモデルカリキュラム」を公開して、大学に対して、学校司書の養成への協力を求める通知を行ないました。日本の学校図書館には二職種が置かれ、養成が期待されるところとなっています。このモデルカリキュラムは、従来は教員免許状取得を前提にしていた司書教諭資格のための科目を、教員免許状取得を目指していない学生にも履修可能とすることとなっています。各大学が、「学校司書のモデルカリキュラム」を開講する場合には、教育の根本、前提が大きく変わることになります。
 
 司書教諭の資格付与の教育の検討がこれまで十分に行なわれてきたとは思われません。学校図書館について長年、モデルのように参照されてきたアメリカ合衆国では、養成教育の質の管理がさまざまな形で行なわれている一方で、日本では、資格付与科目の開設、変更、廃止にあたって文部科学省に対する届出の義務があるのみで、そのほかに“質”を点検する機会は設けられていません。本シンポジウムを企画し実施しはじめた頃には、「学校司書のモデルカリキュラム」は想定外でしたが、結果として、戦後の、「学校司書のモデルカリキュラム」との併置が検討される以前の、司書教諭資格付与課程の教育の実態の一面をここに記録することができました。
 
 最後になりましたが、シンポジウムの企画、実施を学外から熱心に支援してくださった足立正治先生に感謝申しあげます。また、貴重なお休みの週末に参加してくださった方たち、熱心に議論に参加してくださった方たちにも、御礼申しあげます。ありがとうございました。

図書館・文書館の国際動向 2017

 もう来週に迫っていますが,以下,公開で実施します。
 2017年の夏に開催された図書館や文書館に関する国際会議,研修会に参加した3名が,その場の議論や実践現場の国際動向を報告します。質疑応答の時間も長めに取りたいと考えていますので,ふるってご参加ください。事前申込不要,無料です。
  日時: 2017年11月24日(金) 18時20分から20時20分
  場所: 立教大学池袋キャンパス11号館2階 A203教室

  キャンパスマップはこちら。11号館はこの地図の右下に見えます。

【報告内容・報告者】
 第83回国際図書館連盟年次大会
 International Federation of Library Associations and Institutions World Library and Information Congress
  ポーランドヴロツワフにて,2017年8月19日から25日に開催 
  報告者:中村百合子(立教大学教授)

 第81回米国アーキビスト協会年次大会
 81st Annual Meeting of the Society of American Archivists
  オレゴン州ポートランドにて,2017年7月23日から29日に開催
  報告者:古賀崇(天理大学教授)

 台湾図書館研修2017
  台北,高雄にて,2017年9月13日から16日に開催
  報告者:原修(立教大学図書館利用支援課課長)