シンポジウム最終回+アメリカ大統領選挙

 前回のブログエントリで書きましたが、連続公開シンポジウムが来週11月20日(日)午後で最終回になります。大阪教育大学天王寺キャンパスにて。実践共有は、家城清美先生(同志社大学非常勤講師)、足立正治先生(元・甲南高等学校教諭;元・大阪樟蔭女子大学非常勤講師)、中村(立教大学)より。最後に、コメンテータとして、全5回に参加してくださった山本敬子さん(小林聖心女子学院司書教諭)に、お話いただきます。17時終了ですが、天王寺にて懇親会を予定しておりますので、参加していただける方は、ぜひ中村までご連絡ください♪

 さて、昨日のアメリカ大統領選挙...朝から学生たちと図書館総合展に行っていた私は、お昼ご飯時にネットニュースを見て、いやもうびっくりというか、呆然というか。オハイオ州が決まった時点で、「終った...」という連絡がスマホに来て、その後、フロリダがダメで、さすがの諦めの悪い私も、こりゃだめだと。夜は、ヤケになって、サイボクハムで高い豚肉買って帰って、常夜鍋とワインガブガブといたしましたとさ。
 昨晩からずっと、なぜ負けたのかを考えていました。住んでいる日本の政治の動向だって理解できない私が、アメリカの政治の謎解きができるわけもないのですがね。
 でも、今朝になって、Hillary氏の敗北宣言(concession speech)を見て、いや、ほんとこれがアメリカだわ、そうだとしか思えないし、思いたくない、と。日本語だとこれがいい記事だと思いますが、ぜひともスピーチの英語原文(例えばココ)を見ていただきたい。ただ、昨日「終った...」と連絡してきた御方にスピーチの話をしたら、「なぜこういった演説が最初からできなかったのか、、、」とな。確かにナア。Hillary氏ってスピーチするときいっつも余裕がなくて、感動したことなかった。でも、今回はわたしは泣いちゃったよ(笑)。まるで、キャンペーン中のスピーチ・ライターと違うライターを雇ったんじゃないかと思うほどイイ。以下の部分が一番いいかな。(ちなみに、このスピーチの前に、Hillary氏を紹介したのが、副大統領候補だった、Tim Kaineだったから、"as Tim said"。)

   I have, as Tim said, I have spent my entire life fighting for what I believe in.
   I’ve had successes and setbacks and sometimes painful ones. Many of you are at the beginning of your professional, public, and political careers — you will have successes and setbacks too.
   This loss hurts, but please never stop believing that fighting for what’s right is worth it.
   It is, it is worth it.
   And so we need — we need you to keep up these fights now and for the rest of your lives. And to all the women, and especially the young women, who put their faith in this campaign and in me: I want you to know that nothing has made me prouder than to be your champion.

 このスピーチの間ずっと、左にダンナさんのBill、右にTimがいるのよね。で、二人とも、特にBillがさ、ずっと泣きそうなの。これがねえ。。私は、案外いい夫婦じゃないのと、映像の最初からずっと、チラチラ見てしまった。本気で、応援してたんだな、って私は感じました。やっぱり、女性の社会進出は、パートナーがどれだけencouragingな人かにだいぶ依存しているのだと思うよ(生育期に見た親の後姿やかけられた言葉、職場の環境も大きいだろうが)。Hillary氏がダンナさんの閣議にいつも臨席していたとか、さまざまな要職を務めたことについて、批判はあると思う。私も近くにいたら、心底キライ、公私混同だ、と批判したのじゃないかと思う(笑)。でもねーーー、こうなって見ると、そういう状況でなければ、アメリカにおいてすら、女性が大統領の最後の2人の候補にまではなれなかったのかな、って気もします。
 Hillary氏が、いつも余裕がなく見えていたのも、常にfightしている気もちだったんだろうな、と今になって思う。今回の大統領選挙の最後、女性だからということでHillary氏が負けたということなのかどうか、それもわからないことではあるが、彼女の人生がfightし続けてきたものであったことはわかった(笑)。そして、ダンナさんのBillはそんな彼女を、誰よりも尊敬しているのだなということもこのビデオには明らかかなと。あっ、ビデオはyoutubeにいっぱい上がってるかと思いますが、私はこれを見ました。冒頭の40分くらいは会場風景だけで何も起きないのですが〜
 はあ、とにかくこのスピーチは歴史に残るわ。少なくとも私の記憶に残る。
 学生たちと話していると、親にこう言われた、おじいちゃんにこう言われた、というのをよく聞く。「無理って言われた」「今の時代は…って言われた」というようなものがほとんど。なんで若者をdiscourageするのかな、と思う。年をとっていけばとっていくほど、後輩たちをencourageするのが、男女関係なく年長者の責務になっていくのですよ。前向きなアドバイスならともかく、discouroageするなよ!!話がずれますが、ここ数ヶ月、アメリカの学校図書館研究者のおばあさまとメール交換をしていて、頼みごとをしている。彼女は常に、私をencourageするために、返事をくれるのですよ。あなたを応援するために、私にできることならなんでもする、と言ってくれる。師弟関係も何もない。ただ、1度会っただけの関係。いや、ほんとうに、これこそが、年長者が後輩に対してするべきことだと、私は改めて学びましたよ。年を取れば取るほど、自分のために活動しちゃだめです。他者のために活動すべし。(自らへの戒めとして記しておきます。)
 Hillary氏のこのスピーチの後半は、後輩の女性たちに向けてのもの。FacebookのSandberg氏のベストセラーLEAN INも、タイトルの意味するところは、前のめりになってという感じだよね。そうやって、アメリカの女性たちは、今ある女性の社会での活躍をリードしてきたのだと思う。そんな彼女たちが、fightとか、lean inとかって表現するような気もちでがんばってきたことに対して、賞賛と感謝の気もちをもつことができない人(特に女性)がいるだろうか。当然、Hillary氏のすべてを知っているわけではまったくないし、自分がすごく好きなタイプの人間に私の目に見えているかというと正直違う。でも、このスピーチはほんとうにすばらしいと思うよ。(スピーチ・ライターがいるにしても)彼女は、本気で言ってると思うなあ。
 数年のうちに研究休暇を取らせてもらってアメリカに行きたいと思っているわたくしですが、さて、どうなることやら。でも、繰り返すけど、このスピーチはすばらしい(笑)。
 あっ、そうでした。昨夜のトランプ氏の勝利宣言のスピーチの後ろにいる二人の顔見て!この二人の顔を見て、Hillary氏の後ろの二人の顔と比べるだけで、スピーチの重みが違うと思うわぁ。