40代が老害になる時代

 昨年あたりから、「老害」にならないようにせねば、としばしば思うようになった。将来のことを話しているのではない、今、自分(40代半ば過ぎ)が老害になっているのではないかという恐怖と戦っているという話。
 私だけが思っているわけでもあるまいと、今、これを書きはじめるにあたって、「40代 老害」とベタに入力してグーグル先生に聞いてみたら、いるいる(笑)。雑誌記事やら、ブログやらが出てくる。中でも、そうだよなあと思ったのが、このブログの記事

今の若い子のほうが優秀
はっきり言います。20代、30代の若い世代の人たちの方が、我々40代よりも優秀な人が多いです。パソコンやインターネット環境が当たり前にあり、常に多くの情報に触れる機会があった彼らは、我々の世代よりも早く成熟しているし、物事の判断が非常にクールで合理的です。またそれが今の時代の生き方、仕事のやり方に非常にマッチしています。

彼らが優秀であること認めないと。自分の能力の低さも認めないと。そして謙虚に彼らから学ぶんですよ。「俺には経験がある」「年齢は上だ」なんて、クソの役にも立たないプライドですよ。

 まったくですわ。すべての若者がそうだとは言わないが、この人↑が言っているように、"多い"。
 以前、D社にいたときもたまに感じてたけど、学生たちといると、彼/彼女らは黙って私の言うことを聞いてくれるのだけれど、それって、宇宙人がしゃべるのを見ている感じなのかなって…。そのくらい、考えていることや見えていることが違うのじゃないかなって。私が10代20代で上の世代を見ていたときには、連続性を感じられていたけど、今の若者が私に対して自分の先を生きる同じ人間という連続性を感じてくれているかどうかわからない。
 
 昨日、「図書館概論」の授業で、図書館の基本的な役割として収集→組織化(整理)→保存→提供があるという枠組みを示して、それぞれの仕事において専門性があるというような話をしていた。収集においては、資料の選定とコレクション形成の仕事があり、それぞれにおいて、資料の評価(質の評価、出版動向やニーズとの関係からの評価)や内容分析をする知的な仕事だとかいった話。そして、資料の組織化に関わっては、人間は秩序を求めるものなのかという問いを投げかけてみたり、NCR、NDC、BSHとかいった図書館の世界で発明されてきたツールがあって、これらを習得するのにはかなりの学習や経験が求められるといったことを話していた。でもねー、ま、そんなん変わってきてるよね。自分で説明しながら、歴史を話している気分でしたよ。
 今朝は、AIを使った選書システムを日販と富士通が共同開発したニュースやら、本の要約サイトFlierが人気で、AIによる要約記事の自動読み上げ(音声化)機能もあってなんていう記事を見かけて…司書の専門性とされてきたことへのテクノロジーの採用が止まらない(日本の場合はそうした専門性の高い部分は業者さんに外注していたという話もあるが)。で、これを作っている人たちが、過去の図書館の世界の慣例なりを知っていると、役に立つ"かも"しれないが、もしかしたら知識がじゃまする可能性もあるだろうし、絶対知っていた方がよいと言えるかね。
 
 世界が急激に塗りかえられてきている。ほんとうにポスト・モダンがやってきているという気がする。ひとつは金融。銀行員の大リストラ時代。私が学部生のころ、高学歴者は銀行に就職していった…中にはすぐに辞めた私の友人のようなヤツもいましたが…(笑)。彼は見切りつけるの早かったなあ!今となれば尊敬する。私のようなとんびさんには見えていない先が見えている人はいたってことですな。関連して、昨晩やっていたNHKクローズアップ現代「“現金お断り”で暮らしが激変!? 〜追跡・キャッシュレス最前線〜」は再放送があったら観ておいてもいい番組だと思いますよ!中国、進んでる!!もう日本より中国の方がテクノロジーは上って時代(もっとも、自分の情報の管理については注意が絶対、必要)。あともう一つ、NHKスペシャル「仮想通貨ウォーズ 〜盗まれた580億円を追え!〜」もすばらしかった。再放送が5月17日午前1時00分〜1時49分(16日深夜)にNHK総合であるそう。ここで出てくる若者たちを見ていると、ほんと、つくづく時代が変わっており、40代がすべきは若者が新しい社会を作っていこうとするのをじゃましないことだと思う。いっぽうで、日本の教育は子どもをsuppressしすぎているのではないかとしばしば、目の前の学生を見ていて思う。これから彼らに出会う大人がsuppressしないだけではたぶん足りなくて、一度、彼らがsuppressされていた過去について仕切りなおすような体験が必要になっていると感じることすらある。もう、教師は知識を与える人って時代じゃないな、とにかく。自由に、一人ひとりの子どもが自らの可能性をのばせるようになるための、なんだろう…同伴者とも違うし……なんですかね、ファシリテーター?刺激する人かしらね。

 というわけで?、学校図書館なり図書館なりに関心をもつワカモノに、ぜひとも今度いたしますワークショップに加わっていただきたいです。正直、中学生に来てほしい。本気でそう思っている。