ワクチンだなんだ

図書館に関係ない話を連投。

政治家の言葉と言って思い出したのだけれども,ワクチン接種の必要性について,議論があるじゃないですか(表立ってはされていないのかもしれないが)。「有効率95%」と聞いた時に私は,「怪...しい......人間てそんなに単純であるはずないでしょう」と,相変わらず変なこと言ってるなあと思っただけで,あとはほとんど何も考えておらず,かつ関心も無かったのですね。

そこに友人が6月半ば過ぎに,「95%っていうのは」云々と,95%を出した論文にもとづいて,根拠をもってそのおかしさを教えてくれたので,なるほどねと聞いていたのですが,それでも,自分で読もうとか,ちゃんと理解しようとかいう気になりませんでした。忙しかったし,職場でも家庭でもワクチン接種のプレッシャーも無かったので必要性を感じなかった。

でも最近,書店にだいぶ,ワクチンについての本が出てきて,そういえばと興味がわきました。世間の雰囲気はワクチン推奨一辺倒なのかなという感じがしていて,図書館的には,あえて違う立場の人のものが欲しくなりますね。それで,岡田正彦先生の『大丈夫か,新型ワクチン:見えて来たコロナワクチンの実態』(共栄書房,2021)を,出たばかりですが,読んでみました。上述の友人が教えてくれたこととエッセンスは変わりませんが,広範な情報が整理されており,当然,より詳細で勉強になりました。岡田先生の本は,私は他にも複数冊,読んだことがあり,「チャンピオンデータ」という言葉は彼の本から知りました。

図書館で働こうとすると,各分野の出版動向の後ろにある,各業界の知の生産の実態を少しは理解しなければいけなくなるし,また,知りたくなります。大学図書館にからんでそれを研究している分野が,学術情報流通とかスカラリー・コミュニケーションに関する研究ということになりますよね。私はどんな専門家に会うときも,その人の所属するプロフェッションの世界の情報流通やコミュニケーションのスタイルとその背景にあるその業界の文化を観察しようとしています。教授会に座っていても,学部長が揃う会議に座っていても,業者さんと話していても,友人に会っていても,常にその関心はもっている。

岡田先生の新著では,医学界の情報流通がどうなっているのかが赤裸々に整理されているところがあります(p.74-76)。私が過去に出会ってきた医師たちはみな,一人ひとりとしては誠実な方たちでしたが,こんなに忙しくて,どうやって勉強しているのだろうと思っていました。英語で論文を読む時間などあるのだろうか,あれだけ医学・薬学の論文が日々,生産されているのにと思っていましたが,やはりそんなことは容易ではないのだなあと岡田先生の整理の以下の部分を読んで思いました。時間も体力もいくらあっても足りない。(岡田先生は超人的!)

では正しい情報はどこにあるのか。これは,海外で日々発表される膨大な論文を読み込んでいくしかないが,当然,英文で書かれており,しかも高度な統計学が駆使された内容であるため,簡単に理解することはできない。

図書館情報学についても同様で,意欲的で先進的な研究者は英語圏に多く,やはり図書館情報学の研究は英語で多く発表されている。凡人であるわたくしは,日常的にこつこつと,時間をかけて英語文献を精査していかないといけないのだよなと改めて思った次第です。

 

そういえば,話がかえっていくようですが,新型コロナウイルスの発生源についての調査の中でオープンサイエンスの意義がますます高まったということを確信した,ニューズウィークの特集号がありました(2021年6月22日号)。これを読んだ時も,ああここまで時間とエネルギーをかけて調べられるということからまず,尊敬するわと思ったものでした。人生,いつ,何に,どのように時間とエネルギーを使うかだなあとつくづく思います。ちなみにこういう調査から,ファウチ博士への疑いも出てきて,議会の公聴会に呼ばれた。

このときのファウチ氏が饒舌に,本気という態度で強い態度で反論したのを見て,彼が怪しいか怪しくないか,我が家では話題にして笑っていたのだが,数日後にワシントンポスト誌にこんな記事が出て,やっぱりなんだか怪しい...という気がした。

しかし,結局,アメリカの学術・文化の世界が,寄付金(donation)に多くを負っているという点で,もうすべてがこうしかならない気がする。寄付金をどれだけ引っ張ってこられるかが,管理職は特に,採用時に問われる。日本はその意味で,少なくともアメリカよりはクリーンと言うことができるのだろうか(医学は...)。