おおかみこどもの雨と雪

 忙しいと言いつつ、、遊び、、、、
 あ、暑い日に、太陽の下で、ちょっと小さなトマトを、ただお塩だけつけて、包丁で切ったりしないでそのまんま、かじると、、、おいしいよ!!(って誰でも知ってるか、笑)

 「おおかみこどもの雨と雪」、強く強く薦められ、しかも、出張前に見るべき、とまで言ってくださいまして。よって、行ってきました。これはよい映画だと思うのだが、、実は、私は、行く前に、ある占星術師のブログに書かれた感想を読んでしまって、、これが大失敗でした。この人の見方を追うようにしか観られなくなってしまった。この方の見方に私は映画を観た後でも共感しているので、まあいいことにするとして、しかし、すごくいろいろな見方のできる映画だと思うので、事前に情報をあまり集めないで、といって過剰に期待しないで(いろいろな評価があるみたいだから)、観に行くのがいいと思う。
 (以下→、ネタバレ注意。 まだ観に行ってない方は、たいしたこと書いてないけどね、読まない方がよろしい。)大学に勤める図書館情報学者なんていう視点では、印象に残ったのは、大学図書館に花がおおかみおとこを入れてあげちゃって、書架の間で二人一緒に時間を過ごすシーン。なにを表象したものかしらん。この映画には、現代の日本の大学と、書物というものの限界が描かれているなあと思った。花は(もっと大切なものに出あい)大学を辞めてしまう。田舎に移り、子どもたちを一人で、貯金を切り崩しながら育てようとしたとき、移動図書館で農業の本を借りて読んでやってみるのだが、うまくいかない。古代の蜜儀の研究者の先生が、「ほんとうに大切なことは、書かれない」(星の王子さまの、「ほんとうに大切なものは、目に見えない」みたいだ)、「書かれると、廃れる」と言い切っておられたのを思い出した。結局、読書って、自分を安全地帯に置いたまま、ということだったり、もする。ほんとうに道を求めるときに、どこまで力になってくれるのか。。とはいえ、花とおおかみおとこが暮らした部屋にあった本棚は、花の生活の中にずっと見えるんだよねえ。人生において、書物って、本棚って、図書館って、何なんですかねえ。
 あ、この映画でほかに思ったのは、、、小学生の生活というものが、美化されすぎず、よく描かれていると。花は、ちょっとできすぎたお母さんかな(笑)。だけど、まあ、青春時代のひたむきさのまま、というかんじで生きていて、なんか、、うらやましいね!それから、、アニメーションの技術よりは、私は、音楽の質の高さに、感銘を受けたかな。高木正勝さん。京都出身、在住みたいだなあ!原作は、、監督の書き下ろしみたいだけれど、どうなのかなあ。
 さいごに、もうひとつだけ。「境界」のはざまに生きるとか、境界を超える、行き来する、という、この映画の描いていること(のひとつ)(このあたりは、占星術師の方のブログに詳細、書かれておりまする)。周縁、というときには、中心があり周縁があるわけなんだと思うけど、境界というと、あんまり、中心とかっていうものがある印象がない。以前のブログで、周縁ということについて書いた記憶があるが、境界があいまいな人間であるという自己認識のほうが、わたしには、魅力的かもしれない、と思った、この映画を観て。

 さて、この夏、ほかにもいろいろ見に行きたいものがある。以下、備忘録。
  ・「青山杉雨の眼と書」@東京国立博物館(〜9月9日まで)--なんどか告知を見かけていたのだが、行くつもりはなかった。しかし、、うちの母のお師匠なんですよね、と言う人ありて、、こりゃ呼ばれてるなと。
  ・「自然の鉛筆 技法と表現」@東京都写真美術館(〜9月17日)--案内のウェブページ見て、改めて確認できたのだが、"複製"という意味で、また二次元性という意味でも、写真と、活字を印刷した文献とは共通したところがあるのだなあ、と。
  ・「元素のふしぎ」@国立科学博物館(〜10月8日まで)--Pen(7月17日発売号)を見てたら、第2特集が「いま知りたい、元素の世界。」写真と構成がよかったです。
  ・「かぞくのくに」--わざわざ紹介してくれた方があった。わかる、、私が入れ込みそうな映画ではあるが、、やっぱり重すぎるよね。このテーマは。昔、前任校の図書館で、学生たちにもっと本を読んでもらおうと、少し軽めの本を集めたコーナーができたとき、その書架を覗いていたら、本と目があった、ような感じがして、『北朝鮮に消えた友と私の物語』という文庫本を借りて帰った。目があったんだけど、テーマから言って、あまり本気で読みたくないな、、と思っていたのだが、、、、寝ないで読んだかんじでした。。重すぎるんだよね、、これが私の子ども時代と同時代のできごとなんだから、、。ちなみに、韓国については、前任校の同期の教員が翻訳していた『失われた記憶を求めて:狂気の時代を考える』は、ちょっと忘れられない一冊。韓国の詩(人)、いいなと思った。尹東柱も素敵だものね。
  
 先日、渋谷駅南口の山下書店で購入した雑誌2つ。この本屋さんは、若干、サブカルのあのフレーバーがすてきです。
 ・『広告』、今月号の特集のタイトルが、「WHERE ART and SCIENCE FALL IN LOVE」でっせ。買わないわけないでしょ。芸術、科学、愛(よくわかんないけど、日本語にしてみちゃう)、この3つが、私の人生のキーワードだもん。真善美、もですけど(笑)。--キーワードありすぎ、という突っ込みは置いておいて?、ソニア・パークさんのセンスのすごさの象徴は、立ち上げたお店、Arts & Scienceのネーミングじゃない?あ、雑誌に立ち返ると、今号は、情報リテラシーを教える人は必見じゃないかな〜。(もっとも、わたくしもまだちゃんと読んでないデス。)
 ・『美術手帖』、今月は、特集「写真2.0」。立ち読みでは意味わからなかったので、三宅一生さんの特集以来、久しぶりに、購入して読むことに。