学校図書館への二職種併置の議論に誤解が?

 最近、複数の方から、メールをいただいて、中村は学校図書館への二職種併置に反対なんですよね、学校司書の法制化に反対なんですよね、というふうに聞かれているのですが、、私は2職種に反対というよりも、2つの専門職の併置に反対してきたつもりでしたので、誤解があったようだなと。あくまでも「2つの専門職」です。
 関連して、先日も書いたように、「学校司書」という名称を法律に刻むことについては、学校図書館法で専門的職務を掌るとされてきた「司書教諭」、図書館法で(公共図書館の)専門的職員とされてきた「司書」の職名中にある「司書」を使いますので、ここは慎重に議論したいところです。
 しかし、学校図書館に二職種が置かれるべきとの意見は、学校図書館法制定のころの議論にすでに散見されていて、司書教諭が仮に学校図書館専従でも、特に大規模の学校図書館では、学校図書館を図書館たらしめるための仕事をする職員は必要とされると考えられていました。し、私はそれには合意します。もちろん、図書館を作るための仕事には、ほかの仕事とは異なる特殊な知識や技術が求められます。しかし、仕事というものは、職場ごとに事情があって、担当者になんらかの特殊な知識や技術の習得が求められることはよくあるわけで、それが専門職と呼べるかどうかについては、専門職についての理論的研究に基づく線引きをきちんと参照しないと、社会的に通用しないと私は思っています。なんでもかんでも「専門職」と呼んで、外から見たときにその成立要件を安直に(つまり線引きの位置を低く)設定していると思われるようなことをすると、実は後々困るのは、それを自ら選んでしまった業界の方になるというのが、戦後の日本の図書館史そのものじゃないでしょうか。少なくとも薬袋秀樹先生のご著書(『図書館運動は何を残したか』)は、図書館の専門職を自称するときには、読んでおかないといけないのじゃないかと思います。