何を読んだらいいのか,何を薦めるか

 いやあ,今朝,ビル・ゲイツのブログのエントリの多くが,彼が読んだ本の紹介だっていうことにやっと気づきましたよ。今日のエントリは,これなのだけれど,同じ内容を肉声で話して素敵なムービーにしてyoutubeにもあげてるのね〜。いいわ〜いいわ〜。こういうメディアを自由に飛びまわるかんじ,いいです。しかし,彼もいかにもシニアって感じになってきちゃってますねえ,昔からこの人そうなのかな,この現実と過去をしっかり見つめている感じ。もちろん,アメリカ人らしい,ビジョンのもち方もしているけど。イーロン・マスクが毎日,自身が想像する未来について語っているのと比較すると,かなり姿勢が違う(いちおう,イーロン・マスクに影響を与えた本を整理したウェブページも示しておきますわ)。本を紹介するという行為も,現代の若者からしたら,シニアの行為って感じじゃなのかなあ。紹介している本も,ベトナム(戦争)関連が複数含まれていたりして,世代が透けて見えるしなあ。日本のシニアが今,学生運動のころについての本を書いたり読んだりしてるのと同じ感じですかね。
 だけど,ビルゲイツがこうやって,じょうずに本を紹介しているのを見て,何冊か読もうかなと私は思ったから,やっぱりこういうのってじょうずな人がやると意味がありますね。何を読んだらいいのかわからない人って,自分はなったことがなかったけど(読みたい本が多すぎる),英語の本の世界となると,アメリカの本屋さんや図書館に日常的に出入りできるわけでもないし,どこに手をつけていいやらという感じがするから。(でも,これって,ライブラリアンのプロフェッションとしてのバランス感覚ある本の推薦,とは違うよね。)

 実は,今年度いっぱいで特任教授の上田修一先生がご退職で,来年度春,司書課程は新しい先生をお迎えして,またもや変化の一年になりますのです。それに関連して現時点で私にとって重大なのが,来年度の担当授業のシラバス書きなのですね。2014年に上田先生がいらっしゃったときに担当を離れた「図書館情報資源概論」を改めてもつことになり,最近ずっと,常になんとなく,そのことを考えています。あと,新規に担当することになる「図書館サービス概論」。新規であるこっちの方がほんとうは問題なのかもしれないが,なぜか「図書館情報資源概論」の方が大きく気になるんだよなあ...
 というのは,2013年ころの情報メディア,コミュニケーションの状況と来年,2018年の情報メディア,コミュニケーションの状況とが違いすぎる。そんなの知らないだろう若者には声を大にして改めて言うが,ほんとうに違う!何を薦めたらいいのか,そもそもこれからの図書館・ライブラリアンは本を選び,集め,評価し,薦めるべきなのか?

 話は変わるが,先日やっと,Hidden Figures(英語のHP)を観たのですね。ちなみにこの映画,ドリーム(日本語のHP)という邦題ですけど,それ,非常にmisleadingですからヤメテイタダキタイ。Hidden Figuresというのは,二重の意味があって,というか,アメリカの映画のタイトルはほぼすべて,二つの意味をもたせてあると思います。と,ここまで偉そうに書いたが,わたくし,Hidden Figuresについて言えば,その二つの意味のひとつ(obviousな方)しかさいしょわからなかった。人に教えてもらったのです,ハハハ(笑)。私が最初に理解したのは,隠れていた人たち,ってことですよね。figuresは人物って意味。もうひとつは,figuresには「数字」って意味があったのだねえ!そうでしたそうでした。数字がこの映画でどういう意味かを知りたい方は,ぜひとも映画を観てくだされ。
 いやあ,もしかしたら私にとって人生の一作かもしれん,というくらいの映画でした。フォレストガンプもめちゃくちゃ好きですので,やっぱりこの時代のアメリカを描いた映画が私は好きなんだなあ。Hidden Figuresもはじまって数分から,映画の最中ずっとグスグスと。最初は,主人公のアフロアメリカンの女性たちが1960年代の南部アメリカで経験している境遇のきびしさに泣いて,後半に向かうにつれ,主人公たちの強さと白人たちに少しずつわかってもらえていくプロセスが続いて泣ける。ううう...今もまた泣けそう(笑)。今年,Academy Awardsの作品賞受賞作で見たのは,今のとこLa La LandとMoonlightとHidden Figuresだけなのだが,三作かなり色合いが違って,ハリウッドの力がしみじみわかるような。La La Landは,やっぱりミュージカルの映画っていうのがすごいし,ライアン・ゴズリングの力を思い知らされる。Moonlightは,自分の偏見に気づかされた。マイノリティのマイノリティという存在がそれこそ,hidden figuresだった,私にとっては。で,長くなったのだけれど,とにかくHidden Figuresが感動だったので,もう原作を読むしかないと思って,久しぶりに英語の一般書を買ったわけですね。
 いやあ,もう,ほんと,やっぱり英語で一般書も読まないとだめだね,って改めて。英語はやっぱり時間かかるし,専門書だって読むべきものが読みきれていない状況だから,一般書,特に小説はまったく読んでいなかった。でも,英語の会話力って,一般書,小説を読まないと伸びないですね,ゼッタイ。
 ちなみに,英語の原作を読もうと思ったのは,これの前は,The Big Short(英語の予告編)(邦題「マネー・ショート 華麗なる大逆転(日本語HP)だったのだが,こりゃもう金融の専門用語がわからなすぎてどうにもならなかった。英語の一般書について言えば,私の生涯で,数千冊読むということはないだろうなあ。やっぱり読むものを選ばないといけない。ムズカシイ