2017年度総括

 2017-2018の年末年始がfamily mattersで終わり,2017年を振り返る時間も精神的な余裕も何も無かった。そのうえ,2018年,年始早々に陸前高田に出張したら,帰宅の夜にノロを発症し,予定どおり仕事をはじめられず。その後も今月は,先週までは職場も家もバタバタしていた。まあ,まだ,年度末までにしなければいけない紀要の原稿の執筆・編集作業があり,また書かなければいけない原稿が3本あって,どっから片付けるかなあという感じなのだが,でもなんとなく,精神的には一区切りついたような感じが1日,2日前からしている。ので,これを書いています。

 2017年度は,私にとっては,三つの大きなできごとを通して,図書館とITの関係が次の段階に入っていることを実感し,また,来るべき本当のIoT社会もしくはAI社会をリアルに見通せることとなった,印象的な一年でした。その三つのできごとというのは,ひとつは,みなさんもご存知のとおり,2017年10月にサンドラ・ハーッシュ教授を本学の招聘研究員としてお迎えしたことですよね。シリコンバレー周辺に暮らす彼女(と彼女のパートナー)と,ライフスタイルから何からいろいろ話して,ほんとうにexcitingだった。一番,考えさせられたのが,サンドラたちが家のリノベをしているという話で,今度は400アンペアだぜ,とパートナー氏。え!ちょっと待って,我が家は何アンペアだっけ?...30アンペアじゃん。。って,10倍以上かよ,と。ミーハーと言われましょうが,わたくし,2年くらい前かに,町でBMWの電気自動車(i3)を見て,私が欲しかった車はこれだ!と思いまして。デザインといかにも運転しやすそうなあの感じに一目ぼれ。それになんていうか,思想がある感じがするんだよね。これからBMWが作っていく車はこういう方向性ですよ,っていうメッセージが,i3からはビシビシ出ていると思ったのです。でも,マンション暮らしの私は,家に充電するところがないわけですよね〜で,持てない。そんな話をしていましたら,過去に電気自動車を2台かな(3台って言ってたかな),試しているというパートナー氏が,今後,サンドラの分も電気自動車にするとしたら,400アンペアはいるんだよ,と。電気をそうやって大量消費するアメリカ社会への批判はいくらでもできるが,なんというか,その,もう潔さに感動もしてしまって。ちなみに,ニッサンの電気自動車LEAFの話にもなり,カリフォルニアじゃみんな乗ってたよ,よかったよ,って二人が言うので,ニッサンは社長が日本人じゃないからなあ,という日本ディスリをするわたくし(笑)。
 二つめのきっかけは,Google HomeAmazon Alexaという,いわゆるAIアシスタントの購入ですね。この1ヶ月,試行錯誤をして,今,我が家はGoogle HomeLDKのエアコン,電気,テレビ等が音声で操作可能になりました(過去はリモコンでしていたこと)。外出先からも,スマホから操作ができる。つまり,IoTなわけですよね。Google HomeやAlexaにいろいろ質問してみて,どういう検索をしてどういう情報を提供してくれるのかを試したが,特にAlexaは日本語への対応はまだまだという印象だけれど,でも,アメリカではAlexaの方がシェアが圧倒的に高いそうで。この先の両者の勝負はわかりませんよね。この2台を使ってみて思ったのは,100年前にアメリカで図書館で働こうと考えたようなタイプの人は,今の時代ならGoogleで働いているのかもね,と学生たちによく冗談めかして話していたが,ほんとうにそうなのかもなあと。ちなみにご存知?Googleのmission statementみたいなのは,以下ですよ(ここから引用)。

“Organize the world’s information and make it universally accessible and useful.”
Since the beginning, our goal has been to develop services that significantly improve the lives of as many people as possible.

Not just for some. For everyone.

訳してみれば,図書館の使命と,広く言われているのと同じことなんだよ。 

「世界の情報を整理し,それを普遍的にアクセス可能にし,利用可能にする。」
はじめから,私たちの目標とは,可能な限り多くの人々の生活を大きく向上させるサービスを開発することです。

一部の人たちではなく。すべての人のために。

図書館を愛する私は,なんか切なくなるわあ。まったく同じことを言われてしまい,しかも図書館以上の速度と規模で,それを実現しつつあるGoogle...
 で,三つ目は,自分のオフィスワーク関連のできごとなのですよね。7年前に立教に来てからずっと,「図書館実習」の改革をしてきたのですね。国外への図書館実習の制度を作ったりなんだりと。でも,事務的な部分はもうお任せで,触ってこなかったのです。でも,ちょっとしたきっかけがあって,じゃ,やるか,と少しそちらに目を向けてみたら,なんていうか,仕事の大半が,マクロを書くようなことなどをすれば,オートメーション化できちゃうってことに気づいたのですね。そうなってくると,人間って何をするのかな,って。それこそ,マクロを書く能力とか,判断する能力とか,専門知に基づいた総合的判断とか,学生相手の魂の指導とか(笑)?学生たちに,ライブラリアンは消滅する職業リストに入っているなんて話していましたけど,ほんと,ライブラリアンもですけれど,人間は何をする者ぞ,と考えさせられましたよ。
 もういてもたってもいられず,上記のような経験を,来たる2018年度からの立教大学司書課程のカリキュラムや講師陣には時間の限りの努力で反映したつもりです。私の授業も変わっていかねば。
 
 来月は,ALA Midwinterに行きます。このブログは本来,出張ブログなので,この時こそ書かねばなのだが,どうかなあ。体力あれば。