ワルシャワでの図書館見学

 スコットランドアバディーンという街に調査に来ています。ここには昨晩(26日)深夜に着いたのですが、この前、ポーランドにちょっとお休み取る形で寄ってきました。司書課程で学んでいた学生が、ワルシャワ大学に交換留学で行っていて、彼女に会いに行ったのです。IFLAは今年、ポーランドで開催とのことで興味をもっている方もいらっしゃると思い、ちょっと紹介を書いてみます。
 今回、その留学中の彼女が、英語を話す司書の方と約束してくれていて、その方の案内で、ワルシャワ公共図書館の本館の充実した見学ができました。この本館のHPには英語版の規則も載っていますので、ぜひちらとご覧になってみてください。また、学生の彼女が今度、おそらく『図書館雑誌』に少し紹介を書いてくれるので、それも載りましたらご覧ください。彼女のブログはこちらワルシャワ、ヨーロッパの図書館のことがちらちら出てきます。
 さて、ワルシャワ公共図書館こんなところ(google mapへのリンク)にあります。この立地が重要なのだそうで。このあたりは日本の青山といったところらしく(笑)、まあ、集う人たちの年齢層は少し高いのだろうが、いちおうおしゃれな場所ということらしい。そこに、図書館がリノベされた、というので、おしゃれな感じの学生たちで図書館はいっぱいでした。でも、みんな、場所だけ使っているのじゃないんだよ。図書館の資料を複数広げている。本が、学生にとって高いような気がする。あと、Humanities中心のこの公共図書館が、その分野の勉強をしている学生にとって貴重な歴史的資料の宝庫なのかも。
 おもしろかったのが、2015年に新館として開館した部分と旧館を残した部分があるのだが、そのギャップの大きさ。ヨーロッパの格式ある図書館のリーディング・ルームそのものという感じの旧館部分の写真をあげておきますが(ちなみに利用者は写真に写っていないところにたくさんいました。この写真の部屋はかなり広いのです)、新館については留学中の彼女のおそらく掲載される『図書館雑誌』の記事をご覧ください。白基調で、大胆な吹き抜け、ガラス多用の明るい図書館になっていました。ポーランドの著名な建築家の事務所がコンペで勝って設計したそうです。
 案内してくださった司書の方いわく、とにかく、図書館が新しくなって、開架の本が多くなり、快適な空間になって、利用者が増え、図書館滞在者が増え、もうとにかく新しくなったのよ!と。日本の図書館がどうなっているか知らないけど、これはポーランドでは新しい動きなの、と若干興奮気味に、おっしゃっておられました。ヨーロッパの公共図書館変革の波がポーランドに!ということのようです。
 このあと、ポーランド国立図書館(英語のHPへのリンク)に連れて行ってもらいました。建築とシステムがNDLの永田町本館とすごく似ている感じがしました。びっくりした。図書館学研究のための部屋もありました(NDLには無くなってるけど、昔はあったよね)。世界の図書館をすべてそろえて、類型化した研究ってないのじゃないかな。まあ、お金かかるけれど、やれたら、博士号取れますな。誰かやってほしい。ワルシャワ大学図書館は、見に行く予定にしていたのだけれど、時間切れ。留学している彼女のブログを見てくだされ(これこれ)。

 さて、実は今回、私が担当している「図書館総合演習」に登録している/過去にして今も自主的に出てくれている学生たち数名とポーランドで合流し、アウシュビッツ訪問についていきました。いや、つらかった。この後は、もう混乱した話で、図書館も出てきませんので、、、読み進めないでいただいてもまったく構わないと思います。
 さいしょ、私はアウシュビッツは絶対に行かないと言っていたのだ。でも、周囲(学生含む)に説得され。。。『夜と霧』すら読むことを避け続けてきたわたくし。フランクルの著作は、他は何冊か読んでいるが、『夜と霧』はタイトルからしてつらすぎる。ただ、これの原語タイトルはまったく違うんだよね。原語のタイトルの日本語訳を付けている別のフランクルの翻訳の本があって、『それでも人生にイエスと言う』という講演集。変なことになっちゃってるんだよなあ。でもこのタイトルなら読める気がして、こっちは読んだ。『夜と霧』は読んでいないが。以前、D大学にいたころ、グルグル考え続けて苦しんでいるゼミ生がいると貸したりもしてた。今回、アウシュビッツに行って、『夜と霧』を読む準備ができたように感じている。近々、読みたいと思います。
 宗教に抵抗のある方も読んでいると思うので、ちょっと書きづらいが、カトリック信者の私としては、ポーランドは、あの世とつながっているという感じでした。天国なのかわからないが、神の存在を感じる。天国みたいなところでした、ってことじゃない。神の存在が、ポーランドではリアリティをもって感じられるということ。出会った人たちも、みなすごく素敵でした。shy、でも、人間が実は誰ももっている温かさの温度がちょっとだけ高い感じ。情報のあふれるザ先進国の人たちとは、見えているものが違う人たちだなと思いました。一度、住んでみたい。
 アウシュビッツを訪れてから、ふとした瞬間に、身体の底から、何かものすごく悲しい気もちの塊のようなものがこみあげてくる。ポーランドに魂が取り上げられるような、離人症のような感覚。アウシュビッツ見学そのものが、離人症的にならないと、無理です。その塊を抑えながら、アバディーンの空港に真夜中に降り立ち、タクシーに乗ったら、とっても素敵なshyな笑顔のお兄さんがドライバーで救われた。そしてタクシーに乗ってほっとしたところでラジオから聞こえてきたのが、hey jude。あー、イギリスだわなんて思いながらホテルに着いて、もう一度、スマホからhey judeを聴いてみたら、、、歌詞の中のher、なんじゃこりゃとわからないでいたherがGodと思うと、歌詞全体が納得行くような気がしてならなくなった(笑)。わたし、、、病んでますかね。改めて、jey jude、素敵だ。heal、peace。。。
 写真は、アウシュビッツの見学の最初に掲げられている、アメリカで学び活躍した哲学者の言葉。このサンタヤーナ氏の著作、読んだことないので、読んでみよう(もし探す方がいらしたら、ネットだと、英語の情報の方がよさそうです。本や論文はわからないが)。歴史を研究する者には励みになる言葉でもあるけれど。。。英語のcondemnedっていうのは、強い言葉だよね、、、つらい。。。